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2020-11-05

新しいものと成熟したものと

新しいものの魅力

新しいものにはパワーがあります。
そこには勢いと素早さ、エネルギーがあり、
開いてゆく力に満ちています。
フレッシュで粗削りだけれど、その時期にしかない熱さも。

ワインでも、出来立てホヤホヤのものをドイツでは
フェダーヴァイザーといって普通のお店で売られますが
発酵途中なので、瓶の栓をちゃんとはしないで売られています。
ですので横にするのはダメです。

さて、味わいはというと、特にすごくおいしいというものでもなく、
ただその時期の旬要素が強いことと、やはり新しいものには
無条件で惹かれるというような部分はあります。

マチュアな、熟成されたものの良さ

反対に、ワインで言えばじっくり寝かされたもの。
どれくらいの期間の熟成がベストなのかはそのワインに拠るのだと思いますが、
それでも、時という要素が加わっての即席では出せない味を醸します。

その間を無理に早めることもできないし、時の中であやされて
本来の質がゆっくり開花して行くような、自然の恵みタイムとして、
機能しているわけです。

認識・理解にも熟成がもたらされると・・・

そして、ここまでワインを例にして書いて来ましたが、
ワインだけではなく、物事の認識・理解にも熟成の後に開けるものがあります。

同じテーマではっ!と、直接の要素がないのに、今まで気づかなかった、
あるいは気づきたくなかったものがクリアになり、
より大きな真実の中の光で照らされて、長い間の思い込みが溶けてゆくようなこと。
これも熟成の現われの一つでしょうか。

頭で考え方や感じ方を変えようといろいろやっても、変えられなかったことが
直接の原因もないのに、ただふっと・・・立ち還ってゆく。
そしてそれはより優しいものと変化している。

時は時間薬にもなり、アクケミーも起こす

熟成して味がまろやかになるように、内なる所でも知らぬ間に
時のマジックが作用していて、その瞬間は、熟成という豊かさと恵みを
たっぷり味わえ、生きていることの恩恵を改めて感じたりします。

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