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女性の生き方 in ドイツ3

 

女性

 

今回はドイツに住む、イスラム圏からの女性です。

とても素敵な、こじんまりとしたアクセサリーのお店をされていて、
そこを訪ねて、プライベートなおしゃべりなどもしながら、
ちょっと仲良くなった美しい大人の女性です。

 

そのお店、私の好きな、石が映えるデザインの作品が多くて、良い感じです。
以前ローズクォーツの石を使ったピアスを買い、 私はピアスの穴を開けていないため、
それをイヤリング仕様に換えて使っていますが、とてもお気に入りです。

彼女Sさんはシンプルなおしゃれ、白のシャツや黒のシンプルドレスなどが似合う
素敵な大人の女性で、毎日ジョギングをするという、体も健康的なしなやかさを見せる
意志も強く、スタイルのある女性です。
日本と日本の食べ物の話から、以前彼女が住んでいたところの大家さんが、
日本人だったということで、話が弾みました。

そして彼女のプライベートな、ご主人との馴れ初めや、ご主人の家族との付き合い、
彼女が家に引き取りお世話をしている、お兄さんのことなど、
1時間以上もたっぷりおしゃべりの時間が続いたり、
ご家族との写真なども、たくさん見せてくれました。

彼女とドイツ人のご主人、 どちらも二度目の結婚だそうです。
そしてその、文化や宗教も違う二人がどのように出会ったのかということですが、
友だちを介して、パーティーで出会ったそうです。

パーティの最中から、お互い最初から好意はあったのでしょうが、
特にシーマの方は、意識的に彼と近くなるのを避けていたのだそうです。
けれど、距離をおかれると男性って、かえって燃えるのでしょうか。。。

もちろん、彼が最初から彼女に良い感じをもっていたのでしょうが、
パーティも後半になって、ダンスに誘われた時、 最初はノーと言ったものの成り行きもあり、
最後に「じゃ、踊りましょう」となり、二人で踊ったのが直接のきっかけだったそうです。

彼はそれまでどちらかと言うと 彼女と連れ立って来た女性、彼女の友人と話など
していたのだそうですが、「あなたと近づきたいから、彼女と話していたんだよ」と、
どうも、かなり実はお熱だったようなのでした。

そんなことで電話番号を交換して、けれど彼女から連絡するつもりはなかったそうで、
実際彼からその後連絡が来て、関係が深まっていったそうです。

 

そして彼女の強さ、賢さという個性が、彼にとっても魅力的だったと思うのですが、
いざ関係が深まり、一緒に住むということに話題がいった時にも、
彼女はきっぱり言ったのだそうです。

「イスラムの女性として、結婚、あるいはそれを前提としない人と一緒に住むことはしません。」と。

ドイツでは一般的に、結婚をしないで恋人同士が一緒に住むことは、きわめて普通のことで、
私の友人夫婦も、子供が出来たのをきっかけで籍を入れましたが、
それまでは、自由に一緒に住むという形態でした。

お互いがパートナーとしてほんとうに合うのかどうか、その辺も見極めながら暮らすというのは、
離婚率も高いドイツでは、ある意味知恵であったり、実践的な考えだったりします。

ですので、彼女が彼に対して言ったことはある意味、かなり強気の発言なわけです。
けれど色々お話を聞いていて思ったのが、Sさんの、そのしっかりした性格とか、
自分をちゃんと大切にできる姿勢、自分に対する自信などの自然体の強さが
もちろん彼女の魅力とも相まって、彼との関係において、彼女が大切と思うものを得る力に
なったのだと感じます。

 

自分は何が欲しくて、何が出来て、 そしてあなたはどうなの?

これをきちんと問えたり言えたりということは、その個人に力がなければなりません。

ある意味で、「これがあなたにとってダメなら、残念ですが。。。」
ということです。

こういう風に、自分にとっての大切なものを守るための境界線を設定することになり、
誠実な男性なら、それに対して怒るどころか、かえって女性に対して尊敬の念を深めると思います。

境界線を示すときには、特にそれが大切な人、近い人の場合、恐れ、その関係がだめになるのでは・・・
という不安を起こさせます。

けれど真実は、あなたがきちんと自分を大切にする姿勢を明確にすることで、
同じように自分自身を大切にする人のみを引き付け、そこに本当の信頼が育つ土壌が
できてゆくのです。

駆け引きではない、普段から自分が自分をどう思っているのか? どう扱っているのか?
大切にされる存在として、自分のことを見ているのかどうか。
これがそういう大切なところで出て来るのだと思います。

 

そしてそんなきちんと境界線を保てる彼女ですが、彼女の病気のお兄さんを、
おうちに引きとってめんどうを看ていたり、とても家族思いの女性でもあり、
内と外をきちんと分けるということは、イコール彼女の内側の世界とつながる人には、
とってもあたたかな愛情とケアを贈る人なのだと感じました。

お店を切り盛りし、そして家に帰って即お兄さんのお世話もし、私とのおしゃべりの際、
色々忙しさとストレスがたまっていたせいなのか、ちょっと涙したりした彼女。

強い顔の奥には、やはり柔らかく、色々と動く感情を持つ繊細な面があるのです。
(残念ながらお兄さんは天寿を全うして、手厚い看護の中、その後、移行されました。)

 

人と人との付き合いって、こういう柔らかい感情などをお互いが共有することで心が開き、
そして育ってゆきますね。