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2021-08-16

簡単に得られるもの、熟成が必要なもの

ちょっとだけ自分をプッシュしてみる

夜、ほぼ一日のやることも終えてから、
おもむろに、ちょっと眠い目をこすって

「さあ、やるか~!」とダイニングテーブルに広げているのは、
紙と、インクとペン。
カリグラフィーの練習のためです。

本当は「もうやめて、寝ちゃいたいな」という心の声も。
でも、ちょっとの時間でも継続したら、いつかうまくなれるかと、
そんな期待がペンを取る動機です。
先生も「できたら毎日ペンを手にとって書いてみてください」と。

学ぶ際に先生が いる幸せ

他のことに使う時間も考慮すると、今回カリグラフィーのコースを取るのは、
どうだろうかと迷いました。
けれど、タイミングって自分だけのものではないので、
気になる時が一番良いタイミング!ということで、今お世話になっています。

趣味とも言えないカリグラフィー、ずっと独学でした。
けれどようやく、私が惹かれる書体を教えてくれる日本人の先生を見つけ、
経験深い先生から学べる機会を手にしています。

お手本を見て書く。
そして時々先生のオンラインライブでの実際書く様子の配信など。
その際に伝えてくださる、ちょっとしたコツ、気をつけるといい点。
これを拝見でき聞けるだけでも、習う価値は十分ありと思っています。
学ぶ時に、すでにその道を歩んでそしてマスターされた方の言葉は
大きなヒントになります。

そして一人では気づけなくてぐるぐると同じところを回ってしまい、
抜け出せないところから、ふっと軽く抜けてゆくヒントになります。
前に誰かが歩んだ道を歩くのは、一人で通り抜けるより、
ずっと楽だからです。

努力と才能があいまって美になる

そんな学びの宝庫である先生の書き方を見ていると、
やはりそこに掛けた時間と手間と気持ちと、そして才能があいまって、
こんな風に素敵に書けるのだな~と、あこがれてしまいます。

そして、先生はこんなことをおっしゃっています。

「カリグラフィーは技術ですから」

練習で達成する積み上げですよということですね。

日本の伝統芸能などもまず型をしっかり拵えて、
たとえ自己流に崩すとしても、その次の段階です。
最初から自己流でいい加減にやっていては、伸びるものも伸びないわけです。
そして、その過程では繰り返しの、地道な練習が必須です。

人はこれができないんですよね、私も含めて。
そんな自戒もあって、夜中に練習タイムということになるわけです。
先生の流麗な、とても楽に見えるペンさばきを見ながら、
それを会得するまでの時間、努力、気持ちに思いを馳せます。

ポリッシュしたものは自分のものとなる

そして、そこで費やした時間は確実に自分の中に溜まって行くのが魅力です。
大変だけれど、自分のものになるわけです。
熟成というか、精錬を促すその時間。
地味なようですが、大切な時間。

ワインが樽で熟成を待つように、時間は時間のリズムで経ってゆく。

簡単、楽だけを基準にしない

今の時代は、「簡単に」「誰でも」「3か月で」「1年で」という、
口当たりの良い言葉であふれています。
何かをマスターする際も同様です。

やはり人って、私もそうなのですが、楽して良いものを得たいなという気持ち、
どこかにあるものですよね。

でも実際どうなんでしょう。。。
時間が速まっていて、展開も素早い今のエネルギーも納得なのですが、
それでも本当に、何のインプット、努力もせずともものになる大切なことなんて、
あるんでしょうか。
(もしあるように見えても、見えない次元ですでにインプットがあったということ)

先日ある方たちと話していてこんなことを言ったらびっくりされて、
かえって発言した私の方が、その反応にびっくりしました。

「5年学んで来て、やっと占星術の入り口に立てましたと言える感じです」

謙遜でもなんでもなく、学ぶ過程で占星術でも素晴らしい先生たち、先輩たち、
その能力を感じさせていただく機会が多く、
どうすれば一歩でも近づけるだろう、これが正直な気持ちでした。

スタートした時ちょうど家にやってきた二代目のワンコ、エンジェルが
先日5才になり、「あ、5年経ったんだな」と思ったわけです。

ありがたいことに私の回りには、自分の興味のあることを真摯に追及する、
そんな職人的とも言える方たちが多いです。

その方たちへの敬意の念とともに、ワインの熟成のように「寝かせる」時間含め、
時だけができる仕事を邪魔せず、
自分ができる努力をしつつ、私自身も丁寧に紡いでゆけたらと思います。

日常でポリッシュしたものが創る繊細な美

じっくり洗練させるということを考える際に浮かぶイメージは、レース編みです。
ボビンレースの達人の実演を見たことがありました。
幼い6才の頃から家族に教えられて続けてきたという、70代のオランダ女性。
複雑な模様をスイスイと進めて行くのですが、
それは長年の技のポリッシュの先にある熟達。
まさに半世紀以上かけて培ってきたマスターの技。

それがあってこそ、とても美しいレースが出来上がるのだと感嘆したのでした。

 

レース

 

 

 

いつまでも自分に期待出来る姿勢が張りになる

そして何かをじっくり学ぶということの恩恵は、実際的に技術がポリッシュされる、
それももちろんありますが、気持ちの張りにもなることです。
コロナやいろんなことがありますが、そういう時、ちょっと辛い時こそ、
何か腰を据えて精進できるものをスタートして行くこと。
時間の経過が、後で優しいギフトとともに感じられると思います。

実は、継続することの尊さなんて、若い頃は実感できませんでした。
これは天のチャートで見ると、
私は太陽が乙女座になり、本来は魚座なのですが、
そのポリッシュして行くことに喜びを感じるようなその側面が、
人生もある程度進んでから、より開いて来たということもあるのかもしれないと思っています。

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